障害者入所施設におけるわたしのたたかい
1.拒否とのたたかい
たとえば、嫌がっているからといってごはんを食べさせなければ栄養不足になってしまう。「本人のため」には、本人の意思に関わらずやらないといけないことがある。嫌がっているのにやることはつらい。ずっと拒否され続けるとやめたくなる。
2.イライラとのたたかい
こちらの思い通りにいかないことしかない。それはそう。してほしいと思ったことしてもらえることほぼないし予想外の動きがいっぱい!え、なんでそんなことするのよ泣泣ということとたたかう。
3.これってなんの意味があるの?とのたたかい
どうして誰にも感謝されず高くない賃金でこんなに苦しい思いをしてまでこれをやらなきゃいけないのか?と思ってしまうときだってある、たとえば夜勤中ひとりで格闘しているときに。無力感。これはわたし個人ではなく環境のせいと言ってよいのだけれど。
4.排泄物とのたたかい
においがきつい。においがなければもっと簡単なたたかいだった。とくに孤独な夜勤中誰にも頼れないときに排泄物とたたかうときが多い。夜勤中、失禁が起こる。今日のたたかいはひどく大変だった。心の中でぎゃーーーーと言いながらひとり淡々とやるしかない。ちなみに洗濯するのも大変で大切な仕事。
5.自分がまともな人間でいられるかのたたかい
思ってはいけないようなことを思う瞬間も当たり前に訪れるのである。
6.時間とのたたかい
間に合わない。あせあせ
7.トラブルやけんかとのたたかい
人びとどうしのトラブル、何回も同じことの繰り返しでぎゃーぎゃーといやな言葉が聞こえてくる、この日常茶飯事とたたかうのですわ。わたしの心がさすがにもうやめてくれよ、もう何回もそれやったじゃんもういいでしょと言ってる。いちいちやさしく割って入ることがもうできない。
8.わたしに向けられるいやな態度や言葉とのたたかい
これは、こうされて嫌だなって思ったことたくさんあると思うけどいちいち覚えてられないから、たとえばが出せない。気づかないうちにこころが疲弊してしまってるのかも…
9.肉体へのダメージとのたたかい
からだがとてつもなく大きく重たいひとの介助もあり、腰や足の付け根が痛いですわ。
10.丁寧に人と接することができるかのたたかい
人に対するケアも、機械的に効率的にどんどんこなしていくものとして捉えている人に教育されたら、自分もそうなってしまう。人としてみるのではなく、こなす対象として捉えてしまう。相手にもよくないだけじゃなくきっと自分にとっても苦しい。まあだいたい自分が苦しいことが相手も苦しい。
11.みんなの余裕のない雰囲気とのたたかい
しかしみんなほんとにわたしなんかより全然全然大変そうに動き回っている。休憩室にいても、聞こえてくる会話の節々、接していてみえる疲労、苦しい。コミュニケーションのひとつひとつ。「急な欠勤は仕方のない場合ありますが大きな負担がかかるので体調管理につとめてなるべく当日欠勤を出さないようにしてください」みんな余裕がない。こんな余裕のないところで働くのってふつうにしんどいな!やっと気付きました。
12.苦しさに気づけないこととのたたかい
自分が苦しいことや、どんなことが苦しいのか気づいて形にするまでに時間がかかった。
13.生活リズムとのたたかい
シフトワーク、夜勤はつらいよ、やっぱり寝てないとあたまへんになる
14.スタッフどうしの人間関係とのたたかい
あーーなんか本人がいないところでそのひとについてしゃべるとき悪口みたいな感じがめっちゃ出てくるのいややなぁ。しょうがないけどさ。
15.コミュニケーションとのたたかい
シフト制なのでみんなバラバラの勤務して、くる時間も帰る時間も違えば休みの人がいて、コミュニケーションがとれない。バラバラでまとまらない。コミュニケーション手段が手書きノートでのやりとり!口で伝えることができない。
16.自分の気持ちを口にできないこととのたたかい
もともと自分から話すコミュニケーションが苦手なのもあるけど、感じたことを話せるような人や場所や雰囲気や時間がないかも。自分の感じたことを職場で話せたの今まで2回か3回しかない。
17.カルチャーとのたたかい
これもコミュニケーションの話だけど。ある場において人がコミュニケーションをとるとき、個人の意思に加えて、その場におけるカルチャーにのっとってコミュニケーションをとると考えられる。ここで話しかけるか?話しかけるならなんていうか?どこまで本音をしゃべるのか?どう伝えるのか?ひとにどう接する?なんて言葉を使う?そういうカルチャーの面で、ここは若干バグってて気持ち悪い。でもそれって言葉にしづらい。
18.人手不足とのたたかい
これは事業所がどうとかじゃなくて、完全に政治の責任なんだと思う。ケアワークを軽んじるな。
19.性別とのたたかい
チームに女性しかいない、男性しかいないというのは、仕事をするうえではバランスが悪い。(男女が違う生き物と思ってるというよりは、文化的なこと、規範から身につける態度が異なってしまうから)でも同性介助が原則なので、バランス欠如する。
20.じぶんをたもつたたかい
ケアをすることは相手の身体に成り代わることだといまのわたしは捉えていて、それをやるとじぶんの存在が消失する。フォーカスが相手に当たり、じぶんの心にフォーカスが当たらない。過剰な表現かもしれないけど、じぶんが死んでる状態。
21.教えてもらえない・育つことができないとのたたかい
この方にはこういう障害特性があります、だからこういう支援が必要ですということを教えてもらえず、仕事のやり方だけ教えてもらっていたことに気づく。やり方だけずっと踏襲していき、支援を一緒に考える機会を奪われ、人が育たない。
22.慣れとのたたかい
長年働いている人かすぐやめる人かに分かれるらしい。長年働いている人は慣れてしまって、何にも疑問に思わないんだろう。支援をもっとよくしたいとか、もっとこうできるのにとか、思わなくなる。
23.ルーチン生活・ルーチンかかわり・刺激や情報のなさとのたたかい
日々こなすだけのかかわりではいけないと思う。言われたことをやるだけのかかわり、仕事としてのかかわり。もっとかかわりに、偶発性がないと。もっとわたしがわたし自身であり、ちょっと変なこと言ったり他の人がしない行動をとったりしたい。同じ毎日、同じ場所、同じ言葉しかない。新しさがどこにもない。
24.構造とのたたかい
人が多すぎる、施設がでかすぎる。それがもう、そもそもの間違いなの。もうここで全て間違えてるの。人とのかかわりが管理になる。現場と管理職、そのあいだの乖離がうまれる。ユニットごとでバラバラ。チームが機能しない。統率がとれない。おわり!
25.人とのたたかい、わたしとのたたかい
施設長は「もっとよくしていきたい」「変えていきたい」と言いながら、本当の意味で変えていこうとしていないのだと思う。本当の意味で変えていくなら、そのコミュニケーションはおかしい。ということをあたしが言わなきゃいけないのかな?
面談には主任も入るべき。新卒の人に意見を出してほしいなら、出してじゃなくて、そういう場をつくるべき。場なのよ、全てを決めるのは…。会議、話し合いなのよ。「どんどんやってください」「こうしてみたらどうですか?」「案ありますか?」「こう言ってるんですけどね〜」じゃなくて、場を!
っていうのを、あたしが言えばよかったのかな!
26.
(随時追加)