とぎれとぎれの日記でもわたしは生きていて、ここに残さなくてもわたしの痕跡は誰かのなかに残っていて、その誰かが死んでもわたしが死んでもそれは世界にわずかばかりの痕跡を残すでしょう。そういうわずかなものたちの集積によって世界は成り立っている。
仮に光に溶けてしまっても、見えなくなっても、わたしたちはなにかを受け渡しているはずだ。
わたしが求めていると知らずに求めているもの、育てようとしてると知らずに育てようとしているわたしのなかのもの、そんな話をした。
ここは楽園だけれど、楽園にだけ生きているわけではない。そして現実の平坦な地上にだけ生きているわけでもない。